翻訳コラム by 石川正志
トップページに定期的に連載している「翻訳コラム」を、バックナンバーとしてまとめました。このコラムでは、金融の世界で使われる独特の表現を一つずつ取り上げ、説明いたします。

金融業界では固有の表現や用語が使われており、辞書などをみても、なかなか適切な訳語が見つかりません。証券・運用業界での実務経験、経済新聞の購読、業界紙の読み込みなどを通じて、「この英語はこの日本語を充てるとピッタリくる」という事例を紹介して参ります。
exposure - エクスポージャー

金融翻訳の翻訳をしている人であれば、誰でも一度は、このexposure という単語の訳で、立ち止まった経験があるのではないでしょうか。非常によく出てくる単語です。

「露出」、「晒されること」というのがオリジナルの意味ですが、金融・投資関係の文章では、次のような使われ方をします。

We will maintain relatively modest exposure to stocks in the portfolio.

ファンド等で、対象となる資産クラスへの投資額がどの程度あるか、投資残高はどの位かという意味です。

オリジナルの「晒す」という言葉で表現すれば、ポートフォリオが特定の資産クラスに、どの程度「晒されているか」というニュアンスです。

実際どのように日本語で訳すかですが、上記の例文では「組み入れ」になるでしょうか。

「当ファンドでは、ポートフォリオにおける株式の組み入れを比較的控え目に保つ考えです。」

もっと具体的に「投資比率」と言っても良いでしょう。

「株式については、投資比率を比較的低めにする構えです。」

といった処理になります。

文脈によっては「ポジション」も使えます。上の例であれば、

「株式については、ポジションを比較的低めにする構えです。」

とも言えるでしょう。

Exposure は、興味深い言葉なので、また良い事例がありましたら、採り上げたいと思います。

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