翻訳コラム by 石川正志
トップページに定期的に連載している「翻訳コラム」を、バックナンバーとしてまとめました。このコラムでは、金融の世界で使われる独特の表現を一つずつ取り上げ、説明いたします。

金融業界では固有の表現や用語が使われており、辞書などをみても、なかなか適切な訳語が見つかりません。証券・運用業界での実務経験、経済新聞の購読、業界紙の読み込みなどを通じて、「この英語はこの日本語を充てるとピッタリくる」という事例を紹介して参ります。
volatility - ボラティリティ

今日はvolatility を採り上げます。

「ボラティリティ」は、金融機関のスタッフ間や市場関係者の間では日常使われている言葉であるほか、一般メディアで使用されることもあって、すでに日本語の一部に入っている感もあります。

金融翻訳の英文原稿でvolatilityが登場した場合、そのまま「ボラティリティが高まる」のように訳すことは可能であり、読み手がプロの機関投資家である場合、「ボラティリティ」とした方がすっきりしていて良い場合もあります。

ただ翻訳者としては、日本語で何と訳すか、整理してアウトプットできるようにしておいた方が良いです。筆者はなるべく以下のような日本語表現を使うようにしています。

「株価の振幅が拡大する・縮小する」

「値動きが荒い/値動きが大きい」

「(株価・価格)の変動幅が大きくなる」

「(株価・価格)の乱高下が続いている」

「株価の変動率が高い局面では」

もう少し広い観点からの言い方ですと、以下のような感じでしょうか。

「市場の動揺が続く」
「市場は波乱含みの展開」
「相場の変化が激しい」
「相場の急変」

「株価は落ち着きどころを見失っている」のような言い回しもあります。

上記例のように、volatilityは「株価」を対象として使われることが多いですが、債券市場も「ボラティリティが高い」と表現されることがあります。
「アベノミクス」実施後、ここ数ヶ月間の債券市場は、まさしくこの状態で、「債券市場のボラティリティ」は高まっており、「金利は落ち着きどころを見失って」います。

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