翻訳コラム by 石川正志
トップページに定期的に連載している「翻訳コラム」を、バックナンバーとしてまとめました。このコラムでは、金融の世界で使われる独特の表現を一つずつ取り上げ、説明いたします。

金融業界では固有の表現や用語が使われており、辞書などをみても、なかなか適切な訳語が見つかりません。証券・運用業界での実務経験、経済新聞の購読、業界紙の読み込みなどを通じて、「この英語はこの日本語を充てるとピッタリくる」という事例を紹介して参ります。
earthquake and tsunami - 東日本大震災

3月11日の大地震は、日本および世界の経済、金融市場に大きな影響を及ぼしました。

必然的に、震災以降の金融レポートには、earthquakeやtsunamiといった単語が、度々登場するようになりました。

今、私が読んでいるレポートにも Japanese earthquake and tsunami という表現が出てきています。この “earthquake and tsunami”をどう訳すかを考えてみましょう。

無論、「地震と津波」であるわけですが、そのまま、そう表現しているメディアの文章は見当たりません。

今回の惨事を表現する言葉として、一番良く使われているのは「東日本大震災」です。3月の地震発生から間もない頃は、「東日本巨大地震」という表現も聞かれました。

では「津波」をどうするか。“earthquake and tsunami”の訳として、「東日本大震災と大津波」と表現する翻訳者もいるかも知れませんが、果たして、それで良いかどうか。私は少し違和感を感じます。

説明調に表現できる箇所でしたら、「東日本沿岸地域を襲った巨大地震と大津波」と書くことができるでしょう。

意見の分かれるところかも知れませんが、私は「東日本大震災」の中に「津波」の被害は含まれるように思います。つまりJapanese earthquake and tsunamiの訳として、「東日本大震災」のみとするのは、ありではないかと思いますが、いかがでしょうか。

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