金融の中核であるmoneyという言葉について書いてみたいと思います。
景気回復が消費者レベルでは体感できない現在の日本経済ですが、日銀は積極的な金融緩和を継続しています。金利を限りなくゼロに留め、国債、社債、ETF、REIT等、総額5兆円に上る資産を購入し、市場に「お金」をじゃぶじゃぶ投入しています。
米国のFRBも、量的金融緩和の第一弾で3,000億ドルを、第二弾(QE2)で6,000億ドルという膨大な額の「お金」を市場に注入しています。
これらの「お金」は金融市場、投資家、投機筋、企業に流れ、国際商品市場を中心に相場の大きな変動要因となり、最近は新興国のインフレにもつながっていると言われています。
この「お金」は、金融関係の文書では、何と表現したら良いでしょうか。いくつかの事例を挙げたいと思います。
まず「流動性」「資金」があります。
「企業は潤沢な手元流動性を保有している」
「過剰流動性が新興市場に流れる」
「企業は手元資金を積み上げている」
翻訳ではあまり使われませんが、もっと直接的に「カネ」という表現もあります。
「カネ余りが吹き上げた株価」
金融の文章らしい表現は「マネー」でしょう。以下のような表現は、翻訳上、役に立つのではないかと思っています。沢山ありますが、全部羅列してみます。
お金の流れに勢いがある場合
「膨らむ緩和マネー」
「QE2マネー」
「投機マネー」
「マネーの奔流」
「マネーの膨張」
「企業は抱え込んだマネーをどう使うのか」
お金の流れが滞っている場合
「マネーの怯え」
「マネーの滞留」
「投資マネーの萎縮」
「すくむ世界のマネー」
「マネーの目詰まり」「金融の目詰まり」
「投資マネーがリスク資産から一斉に引き上げた」
「個人マネーの退潮」
市場に投入された膨大な額の「流動性」や「マネー」が、破綻した銀行や国家財政の穴埋めに回るのではなく、企業に滞留するのでも、投機に回るのでもなく、一日も早く、末端の庶民、一般消費者、サラリーマン/サラリーウーマンにまで行き届く世の中になることを願いたいものです。
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