他のコラムでも似たようなことを述べているのですが、ある単語に対する訳や言い回しを何パターンか用意しておくと、毎日翻訳をしていく上で、とても有益です。
impactという単語を例に挙げて考えてみましょう。
Earnings will be pressured by the economic impact of the financial crisis.
金融危機の影響で、企業収益は圧迫されるだろう。
impactの訳は、やはり「影響」が一般的ですが、「あおり」という言葉も使えます。
「金融危機のあおりで、企業収益は圧迫されるだろう。」
「世界的な金融危機のあおりで、失業率は上昇する公算が大きい」
といった具合です。
「金融危機の余波で、財務内容が悪化している」というふうに、「余波」も使えます。
金融翻訳という一つの専門翻訳をしていると、一日の作業の中で、同じような表現に何度も出くわすことがよくあります。
同じ訳ばかり充てていると、自分で訳していて、作業が単調になってしまいがちですが、いろいろな表現を試みることで、仕事にメリハリがつきます。
そして何よりも、顧客またはその先にいる読み手の方々に、気持ちよく読んで戴ける訳文ができると考えます。
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