翻訳コラム by 石川正志
トップページに定期的に連載している「翻訳コラム」を、バックナンバーとしてまとめました。このコラムでは、金融の世界で使われる独特の表現を一つずつ取り上げ、説明いたします。

金融業界では固有の表現や用語が使われており、辞書などをみても、なかなか適切な訳語が見つかりません。証券・運用業界での実務経験、経済新聞の購読、業界紙の読み込みなどを通じて、「この英語はこの日本語を充てるとピッタリくる」という事例を紹介して参ります。
recapitalize - 資本増強

信用危機の影響で大きな損失を計上した金融機関が、公的資金の投入を受けたり、優先株式の発行等を通じて、「資本増強」に動いたりしています。英語でいうrecapitalizeです。

今年9月に米政府によって救済された連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)がその最たる例でしょう。先日、以下のような表現を目にしました。

Recapitalization of Fannie Mae and Freddie Mac by the US government

「米政府は両公社(ファニーメイとフレディマック)を公的資金で資本増強した」という意味でしょうか。

Recapitalizeは、「資本増強」以外にも、幾つか表現が考えられます。「資本注入(asset injection)」や「資本の充実」とも言えますし、より一般的な表現として、「財務基盤の拡充」や「財務基盤の強化」というような表現もできるでしょう。

「資本増強」の結果として、金融機関の「資本の厚みが増す」ことになります。この「資本の厚みが増す」も、よく見かける表現です。

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