「ローテーション」という言葉が、金融用語として日本語の中に入ってきているように思います。
資産運用会社、投資顧問会社では、特に「セクター・ローテーション」という表現で、日常業務の中でスタッフが使っています。
英語の辞書に載っている通り、主役が「交代」すること、「回転」することを意味します。
株式市場の場合でしたら、積極的に買われるセクター、株価の上昇を主導するセクターが、例えば医薬品、食品などのディフェンシブ・セクターから、素材、機械などの景気循環株セクターにシフトした場合、「セクター・ローテーション」が発生したと言います。
運用報告書などでは、このsector rotationがよく登場します。そのまま「セクター・ローテーション」で通る文面もありますが、自分は「主役が交代する」という意味で、説明的に訳すことが多いです。
アベノミクス相場の発生以来、「グレート・ローテーション」という表現が、よく聞かれるようになりました。
これも「主役の交代」を意味しており、「債券から株へのマネーの大移動」を表す表現として使われています。
今、マネーの流れの「ローテーション」はあちこちで起きており、新興国株式市場よりも先進国株式市場にお金が流れ、新興国市場の中でも、より高い経済成長が期待できるインドネシアなどの東南アジア市場に、資金がシフトしています。
英文を訳す際、ローテーションの意味がわかるように説明を入れつつ、どこかで「ローテーション」という言葉を入れると、メリハリがあってわかりやすく、金融翻訳「らしい」文章になると思います。
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