GDP growth」の訳の処理と同様に、確認しておきたい言葉として、CPIとinflationがあります。
これも判っているようで、意外に曖昧にしている用語ではないでしょうか。
CPIというのは「消費者物価指数」のことです。指数ですから「上昇」したり、「下落」したりします。
「12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.0%の上昇となった」
「11月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は、前月比+2.3%」
というような言い方をします。「伸び率」も使います。
「消費者物価指数の伸び率が5%を越える」
という感じです。
「CPI」という指数を使っていない表現もあります。
「中国の消費者物価上昇率は、11月に前年同月比5.1%に達した」
「指数」や「物価」そのものは「上昇」「下落」しますが、「インフレ」は「上昇」「下落」するでしょうか。
「インフレの上昇」という訳をしてくる翻訳者がおられますが、私は違和感を感じます。「率」は「上昇」しますが、「インフレ」は「上昇」しないと思います。
物価が上昇基調にある場合の表現、訳の事例としては、以下が思い浮かびます。
「インフレ圧力の高まり」
「物価上昇圧力の高まり」
「インフレ圧力が強まる」
「物価上昇率が高まる」
他に、
「物価上昇基調が持続する」
「インフレ昂進」
といった表現もよく使います。
「GDP」、「CPI」、「インフレ」といった基本的な言葉について、その「名詞」と、それに続く「述語」を曖昧にせず、きちんと整理しておくことをお勧めします。
(補足)
物価が上昇基調にある場合の表現を他にも思い浮かびましたので、補足します。
単純に、
物価高
とも言えますし、価格が上昇している対象が資源や食料を指している場合には、
「原油高」
「食料高」
が使えますし、
「食品価格高騰」
「食料高騰」
などとも表現します。
以前に採り上げた「弱含む」「強含む」を使って
「物価が強含みで推移」
という言い方もできるでしょう。
先に挙げた「インフレ昂進」は「インフレ高進」と書く場合もあります。
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