翻訳コラム by 石川正志
トップページに定期的に連載している「翻訳コラム」を、バックナンバーとしてまとめました。このコラムでは、金融の世界で使われる独特の表現を一つずつ取り上げ、説明いたします。

金融業界では固有の表現や用語が使われており、辞書などをみても、なかなか適切な訳語が見つかりません。証券・運用業界での実務経験、経済新聞の購読、業界紙の読み込みなどを通じて、「この英語はこの日本語を充てるとピッタリくる」という事例を紹介して参ります。
sovereign debt issues - 欧州諸国の債務問題

sovereign risk と同様に、最近の金融レポートでよく登場するのがsovereign debt issuesやsovereign debt concernsという言葉です。

sovereignという単語が使われず、単にfears over Europeとかconcerns on Europeなどの表現が使われることもあります。

これらの言葉をどのように訳すかですが、sovereignをそのまま訳して「ソブリン債務問題」としてくる翻訳者が圧倒的に多いです。

もちろん間違いではありませんし、むしろ正しいのかも知れませんが、私個人的にはあまり「ソブリン」というカタカナ用語を使いたくないという意識があります。何となくまだ日本語の一部になっていないと感じるからです。

ここは幾分簡略して、「欧州諸国の債務問題」或いは「欧州各国政府の債務問題」で良いのではないかと考えます。

新聞を読んでいますと、文脈に応じて、いろいろな表現が使われています。

欧州諸国の債務問題
欧州の財政不安
ギリシャなど欧州の財政不安再燃
欧州の財政問題に端を発した信用不安
ギリシャの財政危機を端緒とする欧州発の信用不安

といった感じです。

sovereign debt issuesと言った場合、「政府の債務問題」、「財政不安」、「信用不安」という日本語表現がしっくりくるように、私には思われるのですが、本稿をお読みの方々はいかがでしょうか。

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