投資信託等のファンドの運用報告書では、どのセクターや銘柄が利益を実現し、リターンをもたらしたか、「要因分析」と呼ばれる分析の結果が記載されるのが一般的です。
英語では、利益をもたらした場合にcontribute、リターンを損ねた場合にdetractという動詞がよく使われます。
今回はこのcontributeの方を採り上げます。訳としては「寄与する」が一般的です。
例文で見てみましょう。
The oil and pharmaceutical sectors contributed 15 bps and 23 bps respectively to the performance.
「当月は、石油セクターと医薬品セクターが、ファンドのパフォーマンスに対し、それぞれ0.15%、0.23%寄与した。」
こんな感じです。具体的な数値がない場合でも、以下のような表現で使われます。
Our long position contributed positively, partly offsetting a negative contribution from shorts.
「ファンドのロング・ポジションがプラスに寄与し、ショート・ポジションのマイナスを一部相殺した。」
運用業界に入った頃、自分は当初「貢献する」と訳したのですが、上の人から「寄与する」が一般的だと指摘され、修正したのを覚えています。
しかし翻訳者として独立した後、いろいろなお客様からの依頼を受ける中で、「貢献する」をお使いになる運用会社様もあって、「貢献する」も使われていることがわかりましたので、現在は両方、適宜使っています。
特に、要因分析でいろいろなプラス寄与銘柄が沢山登場する際、「寄与」ばかり使っていると文章が冗長になってくるので、例えば
「当月、石油セクターはリターンに0.15%寄与し、医薬品セクターも0.23%貢献した。」
といった感じで、併用しても良いのではないかと考えます。
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