翻訳コラム by 石川正志
トップページに定期的に連載している「翻訳コラム」を、バックナンバーとしてまとめました。このコラムでは、金融の世界で使われる独特の表現を一つずつ取り上げ、説明いたします。

金融業界では固有の表現や用語が使われており、辞書などをみても、なかなか適切な訳語が見つかりません。証券・運用業界での実務経験、経済新聞の購読、業界紙の読み込みなどを通じて、「この英語はこの日本語を充てるとピッタリくる」という事例を紹介して参ります。
systemic - システミック/連鎖

証券アナリストの資格試験を受けたり、証券投資を学問として学んだりしたことのある方は、
テキストの中で「システミック・リスク」という言葉を目にしたことがあるかと思います。

このsystemicですが、昨今の金融危機を受けて、翻訳原稿の中でも度々登場するようになりました。

教科書や答案の中では「システミック」というカタカナでも通用するかと思いますが、金融翻訳の中では、やはり日本語にした方が良いのではないかと考えます。

辞書には「体系的な」とか「全身の」という意味が載っていますが、金融翻訳では「連鎖、全体」という言葉がカギになるかと思います。「危機が連鎖的に全体に広がる」というニュアンスです。一番多い事例はsystemic crisisという用語でしょう。

We approach the climax of the global systemic crisis.
「世界的な金融連鎖危機が頂点に達しつつある。」

The escalation of the systemic financial crisis caused Nikkei to fall more than 10% for a month.
「金融危機の連鎖的な広がりが加速し、日経平均は一ヶ月間で10%以上下落した。」

こんな感じです。「世界連鎖株安」といった表現もよく見かけます。

現在、金融危機の影響は金融市場から、実体経済に波及しつつあり、このsystematicという単語は、まだ当分出てきそうな気配です。

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