翻訳コラム by 石川正志
トップページに定期的に連載している「翻訳コラム」を、バックナンバーとしてまとめました。このコラムでは、金融の世界で使われる独特の表現を一つずつ取り上げ、説明いたします。

金融業界では固有の表現や用語が使われており、辞書などをみても、なかなか適切な訳語が見つかりません。証券・運用業界での実務経験、経済新聞の購読、業界紙の読み込みなどを通じて、「この英語はこの日本語を充てるとピッタリくる」という事例を紹介して参ります。
commentator - 市場関係者

以前からずっと適当な訳はないか、考えている言葉の一つが commentator です。

経済レポートに、ときどき出てきて来ます。例えば以下のような文章です。

A commentator says that the year 2009 is unlikely to be an easy one for markets.

「コメンテーター」というカタカナの日本語もありますが、そのまま「コメンテーター」では不自然ですし、辞書に出ている「解説者」も、金融関係の文書にはそぐわないでしょう。

いろいろ考えた末、私が一番よく使うのは「市場関係者」という言葉です。広い概念で、投資家も、エコノミストも、ストラテジストも、アナリストも、金融機関もすべて含まれるので「つぶしが利く」言葉ではないかと思います。

「来年2009年は各国の株式市場にとって容易ならざる年になるであろうと、ある市場関係者は述べている。」

といった感じです。その言った本人が誰であるのか判れば、もっと具体的にエコノミストなのか、アナリストなのか、経済評論家なのか、特定できるのですが、それがわからない場合には、「市場関係者」は(かなり広義の意味を持ちますが)便利な言葉です。

その他、commentatorの訳として、自分なりに検討してきた言葉としては「論者」、「論客」、「識者」があります(あまり使ったことはありませんが)。その他「市場関係者」に近いですが、「市場参加者」も、場合によっては使えるかもしれません。

或いは文章を受動態にして

「来年2009年は、金融資本市場にとって厳しい年になるだろうとの指摘が増えている。」
「来年2009年は、金融資本市場にとって厳しい年になるだろうとの声が聞かれる。」

といった処理も可能かと思います。

ただ「市場関係者」で100%納得しているわけではなく、それよりも、もっとピッタリした訳があるのではないかと、未だ模索中です。

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