翻訳コラム by 石川正志
トップページに定期的に連載している「翻訳コラム」を、バックナンバーとしてまとめました。このコラムでは、金融の世界で使われる独特の表現を一つずつ取り上げ、説明いたします。

金融業界では固有の表現や用語が使われており、辞書などをみても、なかなか適切な訳語が見つかりません。証券・運用業界での実務経験、経済新聞の購読、業界紙の読み込みなどを通じて、「この英語はこの日本語を充てるとピッタリくる」という事例を紹介して参ります。
financial markets - 金融資本市場

ちょっと細かい話をしたいと思います。

「金融市場」か「金融資本市場」か、という話です。

financial marketsとあれば大抵の人は「金融市場」と訳すと思います。しかし新聞や雑誌を丹念に読んでいると、「金融市場」と言っている場合もあれば、「金融資本市場」としている場合もあります。

さらに海外を含む概念として「国際金融市場」もあれば、「国際金融資本市場」もあり、英語をカタカナ読みして「グローバル金融市場」とするケースも見られます。

海外を入れるかどうかは別として、私が気になるのは「金融市場」か「金融資本市場」かという問題です。

金融市場とは何か、資本市場とは何か、短期か長期か、そういった教科書的な話は、ここでは割愛します。

「金融市場」という言葉は一般的な言葉であり、「金融資本市場」と言った場合、もう少し具体的に、様々な市場を広い範囲で含むというニュアンスがあるように感じます。(後者の英語は、正確には financial and capital marketsになるかもしれません。)

先日、本コラムで “stress”という言葉を取り上げ、以下の例文を挙げました。

Financial markets remain under considerable stress.

一般的には「金融市場は依然としてかなりの緊張状態にある」となりますが、昨今の金融危機は、株式市場や公社債市場、マネーマーケット、デリバティブ市場など、広い範囲の市場に影響が及んでいます。

その辺のニュアンスが色濃く出ている文脈であれば、英文にcapital marketsが入っていなくても、「金融資本市場は依然としてかなりの緊張状態にある」としても良いのではないかと思います。

重箱の隅をつつくような話かもしれませんが、「金融資本市場」という言葉がどうしても気になりましたので、採り上げてみました。

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