翻訳コラム by 石川正志
トップページに定期的に連載している「翻訳コラム」を、バックナンバーとしてまとめました。このコラムでは、金融の世界で使われる独特の表現を一つずつ取り上げ、説明いたします。

金融業界では固有の表現や用語が使われており、辞書などをみても、なかなか適切な訳語が見つかりません。証券・運用業界での実務経験、経済新聞の購読、業界紙の読み込みなどを通じて、「この英語はこの日本語を充てるとピッタリくる」という事例を紹介して参ります。
current - 足元

金融関係の文章では、「現在」を意味する用語として「足元」という言葉がよく使われます。

金融翻訳に慣れた方には何でもない表現であり、何を今さら取り上げる必要があるのかという指摘を受けそうですが、やはり、やや独特な表現であり、初心者にはなかなか思いつかない言葉ではないかと思います。

例を挙げてみましょう。

The Current Economic Situation and Prospects for the Future
「足元の経済情勢と将来見通し」

Economic circumstances are currently deteriorating sharply.
足元の景気は急速に悪化している
景気は足元、急減速している

The current asset under management of XXX Investments is USD 100 billion.
XXX Investments社の運用資産総額は、足元で1,000億ドルに上る。

といった言い回しになります。

currentのほかに、present、nowが使われている文章にも、場合によって適用できるでしょう。

もちろん「足元」の代わりに、「現在」や「最近」を使っても構いませんし、「現在」「最近」や「現時点」の方が自然な場合もあります。

ただ文脈に応じて、敢えて「足元」を使ってみるのも、金融の文章らしさが出て良いのではないかと思います。

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