「サブプライム」、この半年間に、この言葉を耳にしたことのない人はいないでしょう。昨年2007年の初旬から新聞紙面で見かけるようになり、夏場から一機にその数が増えました。
サブプライムローン、サブプライム問題、サブプライム関連損失、サブプライムローン債権といった使われ方をします。
ある日の日経新聞の朝刊で、「サブプライム」という言葉が幾つ出てくるか数えてみたところ、全部で21個ありました。ピーク時には、おそらくその倍以上あったと思います。
皆さんご承知の通り、サブプライムローンとは、信用力が低い個人、低所得者層を対象とした住宅ローンを意味します。米国で始まった問題で、その影響が世界の金融市場に波及しています。
最近、経済レポート、投資レポートを翻訳していると、当然ながらsubprime loanという言葉が出て参ります。他に、subprime mortgage、subprime crisis、subprime lendingという使われ方もします。
subprime loanを日本語に訳すとき、どうするか。「サブプライムローン」で基本的に問題はないと思うのですが、そのレポートの中で一番最初に登場する箇所には、括弧してその日本語訳をつけるのが親切ではないかと思います。
サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)
あるいは逆にして
信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)
プロの機関投資家相手のレポートであれば、そんなことは自明なのですが、金融業界の人であっても、「サブプライムローン」とは何かと問われて、「信用力の低い個人向け住宅融資」と即答できる人が果たしてどれだけいるか。もしかして意外に少ないのではないかと思います。
やはりここは、プロ向けのレポートであっても、一回は「信用力の低い個人向け住宅融資」という説明をどこかに入れるのが、翻訳としては良いのではないかと思います。
意味はわかっているのですが、それを日本語で書くとなると、きちんと表記できない。金融翻訳をしていると、こういう用語がよく出てきます。他の事例について、またいずれこのコラムで採り上げたいと思います。
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