翻訳コラム by 石川正志
トップページに定期的に連載している「翻訳コラム」を、バックナンバーとしてまとめました。このコラムでは、金融の世界で使われる独特の表現を一つずつ取り上げ、説明いたします。

金融業界では固有の表現や用語が使われており、辞書などをみても、なかなか適切な訳語が見つかりません。証券・運用業界での実務経験、経済新聞の購読、業界紙の読み込みなどを通じて、「この英語はこの日本語を充てるとピッタリくる」という事例を紹介して参ります。
mixed picture – まだら模様の米国経済

このコラムでは、金融の世界で使われる独特の表現を一つずつ取り上げ、説明いたします。辞書にはあまり載っていない、業界固有の表現です。
 
まず第一回目はmix pictureです。これまで金融翻訳をしてきて、独特な言い回しとして真っ先に思い浮かぶのがこのmix pictureです。米国の経済指標などで比較的良い指標と悪い指標の両方が混在していて、景気が良いのか悪いのか、判断が難しいような状況でよく使われます。次のような感じです。
 
New economic indicators offered a mixed picture of the US economy with unemployment dipping but the manufacturing sector continuing to shrink.

失業率は低下しているものの、製造業では生産が縮小を続けている状態ですが、こういう場合、日本の新聞でよく使われるのが、「強弱が交錯している」、「強い指標と弱い指標が入り混じっている」、「強弱まちまち」などです。上の英文を意訳すると、
 
「最近発表された経済指標によると、失業率は低下しているものの、企業の生産は縮小傾向が続いており、米国経済は強弱が交錯している、強弱まちまちの状態である」という感じになります。
 
個人的に一番ピッタリしていると感じるのが「まだら模様」です。「最新の経済指標によると、雇用情勢は好転しているものの、生産活動は縮小しており、米国経済はまだら模様の様相だ」というような使われ方をします。
 
文章のタイトルでMix Picture of US Economyとあったら、「まだら模様の米国経済」が一番ピッタリとはまるように思います。

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